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広島高等裁判所 昭和53年(行コ)9号 判決 1980年2月12日

広島市段原中町一九番一九号

控訴人

向井小太郎

右訴訟代理人弁護士

河村康男

臼田耕造

同市宇品東六丁目一番七二号

被控訴人

広島南税務署長

田中伊佐保

右指定代理人

有吉一郎

高田資生

小川儀市

広光喜久蔵

藤井哲男

右当事者間の所得税更正処分取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一申立

一、控訴人

1  原判決を取消す。

2  被控訴人が、控訴人の昭和四八年分所得税について、昭和五〇年三月七日にした更正処分(但し、修正申告額を超える部分のうち、同年七月五日付異議決定により取消された部分を除く部分)及び過少申告加算税の賦課決定処分(但し、前記異議決定により取消された部分を除く部分)を取消す。

3訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。

二、被控訴人

主文と同旨

第二主張

控訴人が、「本件土地を譲渡したのは福山市の収用権を背景にした申出に止むなく応じたものであって、福山市の右買収がなければ、控訴人は更に長期間本件土地の所有を継続したものであり、控訴人が本件土地を購入したのは、不動産業の一環として転売目的でしたのではなく、家族のための蓄財を目的としたものである。」と主張したほかは、原判決該当欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三証拠

次に付加するほかは原判決該当欄記載のとおりであるから、これを引用する。

一、控訴人

1  甲第一〇ないし一二号証、第一三号証の一、二、第一四号証を提出。当審における証人二藤章、同佐藤義明の各証言及び控訴人本人尋問の結果を援用。

2  乙第五号証の一ないし一四が被控訴人の主張の写真であることならびに第一〇、一一号証の各原本の存在及び成立を認める。

二、被控訴人

1  乙第一〇、一一号証を提出。乙第五証の一ないし一四の写真は本件土地及びその付近の写真である。

2  甲第一〇、一一号証の成立を認める。第一二号証、第一三号証の一、二、第一四号証の成立(第一四号証については原本の存在も)は不知。

理由

一、当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当と判断するもので、その理由は、次に付加、訂正するほか原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

1  原判決八枚目表七行の「右購入に際しては、」を「右購入後に、」と改め、同裏一行の「証言、」の次に「原審及び当審における」を加え、九枚目表末行の「本件土地」から裏二行の「しながら)」までを「本件土地を、値上りした後しかるべき時期に売却すれば足りるものとして、」と改め、一〇枚目裏九行にある「争いがない」の次に「(関係法条にも適合すると認められる。もっとも、本件処分で事業所得についての必要経費を三七〇万四七三〇円としている点については、その内訳(被控訴人が原審で陳述した昭和五一年六月二九日付準備書面別表一記載による)によって計算するときは三五五万六七三〇円になり、この結果は事業所得金額ひいては所得税額がそれだけ増加するが、本件行政処分を取消す事由に当らない)」を加える。

2  控訴人は、本件土地の売渡しは、福山市の収用権を背景にした買入れの申出があったため止むなく応じたものである旨主張するが、仮にそうであったとしても、この事実の存在だけで本件土地が「たな卸資産」に該当することを否定することはできない。

二、よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 辻川利正 裁判官 梶本俊明 裁判官 出嵜正清)

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